【ほっとライフサービス桔梗のマークの「ハート」を手で作る山川さん(左)と安藤さん=名張市桔梗が丘5番町で】

 三重県名張市の幼なじみの女性2人が来年1月、同市桔梗が丘5番町でサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「ナーシングホーム桔梗」をオープンさせる。これまでの道のりなどを聞いた。

小学3年時の山川さん(左)と安藤さん(提供)

 2人は、サ高住を運営する株式会社ほっとライフサービス桔梗の代表取締役副社長で薬剤師の山川典子さん(46)と本部長で介護福祉士の安藤美穂さん(46)。出会ったのは市立桔梗が丘南小の1年生の時で、40年来の付き合いだ。

 幼い頃の2人は活発な子どもで、男友達も交えて木登りをしたり、秘密基地を作ったり、ピアノを弾いたりして遊んだ。学校の後は、同じ塾に通って勉強した。

 中学卒業後、安藤さんは地元の高校に進んだが、山川さんは大阪の高校に進学。しばらく離れ離れになっていたが、20歳の時に開かれた同窓会で再会を果たした。

 その後、山川さんが北海道の大学を卒業後、名張にUターン。年一回のペースで開かれる同窓会以外でも、自宅で鍋を囲んだり、一緒に料理をしたりして2人はますます仲を深めた。

 転機となったのは、山川さんの父・光明さん(71)が社長を務める(株)ほっとライフサービス桔梗の立ち上げだ。高齢化が進む中、「最後まで安心して暮らし、自分らしく生き抜いて欲しい」という願いで立ち上げた会社で、事業の中心にサ高住を据える計画を進めていた。

思い一つに

 その頃、安藤さんは奈良県大和郡山市のサ高住で施設長を務めていた。父と起業に向けた準備を進めていた山川さんはサ高住の責任者には「美穂ちゃんに来てもらうしかない」と心に決め、何度もラブコールを送った。
 安藤さんは名張の自宅から往復100キロの通勤で苦労があったが、施設長を任されて間もなかったこともあり当初はオファーを断っていた。それでも山川さんは会う度に「うちに来て」と勧誘。その熱心な姿に、ついに心が動いた。市内の喫茶店で安藤さんは「やってみるわ」と山川さんに告げた。最初の打診から、3年越しの実現だった。

 同社は22年に設立後、23年にヘルパーステーションと訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所、24年に介護タクシーの各事業を次々に発足。山川さんが代表理事を務める一般社団法人ほっとライフサービス桔梗の福祉有償運送と併せ、幅広いニーズに応える体制を構築してきた。そして、幼なじみの2人の思いが詰まったサ高住が、いよいよ完成の日を迎える。

「ナーシングホーム桔梗」の完成予想図

隣接クリニック連携 ナース常駐
「ほっと」できる生活を

 「ナーシングホーム桔梗」は、木造2階建て延べ床面積約1320平方メートル、住宅戸数は40戸。ナースステーションを備え、隣接するクリニックと連携しており、医療、介護、看護一体型のサービスを24時間体制で受けられるのが特徴だ。最新の機械浴2種類と通常の浴室を備え、どんな状況の利用者も快適に入浴を楽しめる。

 部屋や廊下の壁紙は、住む人の気持ちをイメージしてこだわり抜いた。2人は「ほっとするような、居心地の良さを大切にしています」と口をそろえる。

 事務所は、話し合いの場としての利用を重視するために席を固定しないフリーアドレスを採用。山川さんは「ケアマネもヘルパーもナースも薬剤師も、職種の垣根を越えて全員で一人ひとりの入居者様をいろんな方向から見ていく。常に全員で話し合い、入居者様に手厚いサービスを提供したい」と話す。

 開設に向けて、安藤さんは「入居者様やスタッフの笑顔が絶えない、本当に明るい施設にしていきたい」、山川さんは「人生の最期まで『ちゃんと自分らしく生活していけたな』って思って頂けるよう、スタッフ一同サポートしていきたい」と思いを語った。〈PR〉

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