中学の同級生でサッカー部のチームメート、実家の寺院を継ぐ副住職、同業種の仕事、息子も同級生、そして何より、地元・大山田が好き―。三重県伊賀市甲野の中森大樹さん(33)と同市下阿波の福田蓮さん(32)には、本人たちも驚くほど共通点が多い。「寺や地域を若い人たちが集まる場所にしていきたい」と同じ思いを抱いている。
中森さんは、14代目の父・宜光さん(69)が住職を務める安養寺(甲野)で副住職を務めながら、名張市内の保険代理店で損害・火災・生命保険などを担当。福田さんは正覚寺(下阿波)で19代目の父・隆学さん(56)を支える副住職であり、津市内で団体職員として共済事務などを担っている。
宗派が違えば経や作法は異なり、会社が違えば商品や保証の内容も異なる。「寺も保険も似たところがある」と話す2人が口をそろえるのは「どちらの勤めも、地域の皆さんがいてくださることが大きな支え。多くの方と関わり、いろんな世界を知ることができている」ということだ。
地蔵盆に多くの人が足を運んでもらえるよう考えを巡らせた中森さん。寺を訪れる家族連れのためにと本堂に絵本コーナーを設けた福田さん。いずれ15代目、20代目となる2人は「互いに、地元にいて当然、という何気ない意識だったが、共通点がたくさんあることがわかり、改めて頼もしい存在だと再認識した」。
2人が別々に通った保育園も小学校も統合になり、現在は大山田地区にそれぞれ1か所しかない。若い世代が少なくなってきた印象が強まる中、昨年開かれた大山田中の同窓会には約半数ほどが参加したという。「普段会える距離にいる仲間が案外たくさんいると気づいた」(中森さん)、「自分たちの世代が地元を盛り上げていけたら」(福田さん)とそれぞれに思いを語った。
2024年9月28日付876号1面から