【展示予定の作品を披露する乾さん=名張市短野の自宅アトリエで】

乾さん「子どもに元気もらう」

 幼いころから家族のように親しみ、いつも身近な存在として近くにいる「牛」を描いて45年。三重県名張市短野の保育士、乾京子さん(82)が10月に市内で開く自身2度目の個展には、力強さと穏やかさを兼ね備えた牛を特徴的な色使いで表現した油絵の数々が並ぶ。

 長崎県福島町(現在の松浦市の一部)で7人きょうだいの5人目として生まれ育ち、地元で働いていたが、20代で関西へ転居。大阪府池田市などで保育士として働いていた時、同市の幼稚園で絵画を指導していた伊賀市出身の画家、上田保隆さん(故人)の縁で後の夫と出会い、30代後半で名張に移り住んだ。

 農業を営んでいた故郷では牛は家族の一員で、名張の家は隣で親族が畜産業を営んでいる。「体は大きく闘争心も感じるけれど、目が優しい」牛たちは、これまで100号前後の大きいキャンバスに数多く描き、自身の作風を象徴する存在に。夫を亡くした10年ほど前からは、家族や愛犬などを題材にしたハートフルな作品も描くようになった。

平和のありがたさ

 二紀展では1986年から計30回以上入選し、2018年には二紀会の準会員に。80代になっても桔梗が丘保育園で週2日勤務する他、同園と西田原保育園で月に1回、園児たちに絵の描き方を指導し、「子どもたちから元気をもらっている」そうだ。

 「つぶらな牛の瞳には、平和であることのありがたさが込もっている」と語る乾さんは、約10年ぶりとなる個展を前に「少しでも温かい気持ちになってもらえたら」と来場を呼び掛けた。

 個展は名張市百合が丘西5番町のサービス付き高齢者向け住宅「百合ヒルズ」ホールで、10月11から16日までの午前10時から午後5時。入場無料。

 問い合わせは百合ヒルズ(0595・62・1234)へ。

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