【石碑の前で献花する参列者=名張市青蓮寺で】

 終戦から79年を迎えた8月15日、太平洋戦争中に米軍爆撃機B29が墜落した三重県名張市青蓮寺の山中などで「平和の集い」が営まれた。住民ら約70人が参列し、地元の戦没者や墜落したB29の搭乗員を追悼した。

 戦時中、青蓮寺地区から出征した兵士36人が戦死した。1945年6月には、神戸を空襲したB29のうち1機が同地区の山中に墜落し、搭乗員11人のうち2人が死亡。パラシュートで脱出して生き残った9人は日本軍に連行され、終戦前に処刑されたという。

 国籍や宗教を超えて戦争の犠牲者を追悼しようと、同市青蓮寺の地蔵院と名張ユネスコ協会、市宗教者連帯会が2006年から集いを開いている。昨年は台風の影響で中止したため、今年は2年ぶりの開催となった。

 この日、墜落現場の石碑の前では、日米国歌の演奏に続いて同院の耕野一仁住職(75)が「戦争を憎み、平和の大切さを後世に伝えることを約束する」などの追悼の言葉を述べた。

 参列者が祭壇に献花した後、市遺族連合会前会長の山口繁一さん(94)が戦時中の出来事などを振り返り、改めて平和の大切さを訴えた。在名古屋米国領事館のアンナ・ワン首席領事から届いたというメッセージの披露もあった。

 同院の境内では、子どもらが平和の象徴とされる白い鳩を空に放った後、平和を祈って鐘を打ち鳴らした。

 参列した市立赤目中2年の西森乃笑琉さんは「若い人たちが戦争に駆り出されるなんて、今では考えられない」と話し、同1年の田中康介さんは「日本の平和が続き、世界中が平和になってほしい」と願っていた。

白い鳩を放つ子どもら=同
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