公有民営方式の伊賀鉄道は7月25日、2023年度の輸送人員が前年度比4万3000人(3・7%)減の111万8000人だったと公表した。昨年5月に新型コロナウイルス感染症の位置付けを季節性インフルエンザと同様に移行し、非常事態宣言による行動制限などの対策はなくなったが、通勤と通学の定期を利用する乗客が前年度よりも計6万5000人のマイナスとなった。収支は1億2400万円の赤字だった。
この日開かれた伊賀線活性化協議会の総会で同鉄道の増田政俊常務が約30人の出席者に説明した。利用客の内訳は、通勤定期が1万8000人(9・7%)減の18万8000人、通学定期が4万7000人(7・1%)減の61万3000人、普通乗車券や回数券を利用した定期外は前年比2万2000人(7・5%)増の31万7000人で、本格的な新型コロナ流行前の19年度以来となる30万人台に戻った。
収支状況は、収入に当たる営業収益が500万円(1・8%)減の2億8200万円で、支出にあたる営業費用は前年度より200万円少ない4億700万円だった。増田常務は輸送人員について「コロナ禍から定期外は緩やかに回復してきた一方、定期旅客の減少が止まらずにマイナス傾向に陥った」と振り返った。収支には「グッズなどの販売やイベントの収益で運輸雑収が1400万円あり、収益にとって大きかった。引き続き尽力したい」と話した。
伊賀線は市内に15駅あり、路線距離が16・6キロ。07年10月に近鉄と同市が出資する第三セクターとして運行し、17年4月からは同市が鉄道施設などを保有・維持管理する公有民営方式となり、昨年度で6年目を迎えた。
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