【窯の前で作品を手にする須釜さん】

 三重県伊賀市槙山に窯を開いて6年、陶芸家の須釜優子さんが、7月15日まで市内のギャラリーで個展を開いている。2018年の独立後、伊賀地域での個展は初で、「使ってうれしく感じて頂けたら。日頃お世話になっている方々にも見て頂ける機会にしたい」と期待を込めて話す。

 埼玉県出身で、幼少時や10代のころはインドネシアやシンガポールでも暮らし、普段使う器を自分で作る現地の人たちから影響を受けた。京都伝統工芸大学校陶芸専攻科を卒業後は、「伝統と力強さの中に優しさがある」と感じた伊賀焼の世界に入ろうと、同市三田の谷本洋さんに師事し、13年間修業を重ねた。

 「窯を構えたら伊賀で個展を」と構想を練っていたが、新型コロナの影響ですぐには実現せず。しかしその間は「窯や土と向き合う時間にもなった」と前向きにとらえ、煙をほとんど出さない無煙穴窯を築いた。普段使いできる器には「潜在的に入っている」というアジアンテイストの模様や花の柄などもあしらう。

故郷のような伊賀

 今回の個展には、茶器や身近な食器、透明感のある磁器など百数十点を出品しており、「暮らして約20年、既に伊賀が故郷のように感じている。伊賀焼の伝統の中で、自分の個性や技を少しでも出せたら」と意気込みを語った。

 会場は同市上野福居町のギャラリー「アートスペースいが」で、午前11時から午後6時(最終日は同4時)まで。入場無料。

 問い合わせは同ギャラリー(0595・22・0522)まで。

- Advertisement -