【蔵持市民センターにある天体望遠鏡と千種さん=名張市で】

 今年も「星空案内人」の千種啓義さん(81)(三重県名張市緑が丘中)が活躍する季節が訪れた。同市蔵持町原出の蔵持小学校を皮切りに7月から11月まで伊賀地域で開催され、毎年予約がすぐに埋まるほどの人気イベント「星空観測会」の案内役だ。

 千種さんが天体観測に興味を持ったのは小学校高学年の時。当時、大阪市内に住んでいたが、近所の人と夜空を眺めていたある日、東方の生駒山に縦に並ぶ3つの明るい星が見えた。「あの星の名前を知ってる? オリオン座と言うんだよ」と教えられたそうだ。

 以来、星座やギリシャ神話に関する本を読みあさり、中学校では天文部に入った。大学卒業後、博物館などの展示やイベントなどを手がけるプロモーション会社で定年まで働き、現在も地元紙の記者をしながら、趣味として星空観測を続けている。

 40代の時、名張市に転居。自宅の庭から天の川が奇麗に見えるのに感激し、改めて星への興味が深まったという。その後、口径28センチ、焦点距離2・8メートルの本格的な天体望遠鏡を購入し、現在も愛用している。

 60代で星や宇宙に関する情報を広く伝える「星のソムリエ」と称される星空案内人の資格を取得した。これを機会に、星仲間が一気に広がったという。

 天体の話をする時の千種さんは自然に笑みがこぼれる。「太陽はなぜ光り続けるのか」「お盆のころに現れるペルセウス座流星群は、今年は月明かりの無くなる夜中過ぎに見やすくなる。子どもたちは起きていられるかな」「木星(ジュピター)の周囲を回る4つの衛星には男女の恋愛神話があり興味深い」など、次から次へと話が弾む。

 観測会は星仲間3、4人で運営しており、それぞれ大型望遠鏡を持ち寄る。「星好き、天文好きの子どもが一人でも増えるのが私の喜び」と話す千種さん。「校庭や市民センターの駐車場などに敷いたブルーシートに寝ころび夜空を見上げると、宇宙は自分1人のものになり、気持ちも広くなる。観測会から帰宅すると、普段の疲れた顔が子どものように輝いていると妻からよく言われる」と笑った。

 千種さんらが案内人を務める星空観測会は、以下の通り。

▼7月13日午後7時30分から、9月7日同6時30分から、蔵持小学校
▼8月10日同7時から、11月9日同6時から、蔵持市民センター(蔵持町原出)
▼10月12日同6時から、薦原小(薦生)。

 いずれも同市民センター主催で、定員は30人(要予約)。小学生以下は保護者の同伴が必要。

 観測会は他に、美旗市民センター(美旗町南西原)、赤目市民センター(赤目町丈六)、三重県上野森林公園(伊賀市下友生)などでも開催予定。

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