三重県伊賀市大谷の前田教育会館蕉門ホールで、旧上野町長の故・田中善助(1858‐1946)が書いた9メートル四方の謝罪状が公開される。公開日時は5月11日、12日と14日から16日までの午前10時から午後3時まで。観覧無料。
田中は、水力発電所の建造や鉄道の開通などを手掛け、伊賀地域の近代化に貢献した実業家として知られる。謝罪状は、町長になる前の1899年に同市生琉里のため池の新設工事で、近くの寺が所有する山林を荒らしてしまったことに対する詫びの手紙。模造紙を張り合わせたものに、わらほうきと墨を使って約130字が書かれている。
設備の老朽化に伴い6月末に同ホールが閉鎖になることから公開を決めた。ホールでは1999年5月に、田中家から預かった謝罪状を初公開した経緯があり、以降は前田教育会が保管。2021年から22年には老朽化で穴が開いた部分の補修作業も行った。
会場では、2階のスペースから謝罪状の全体を見ることができ、田中の功績をまとめた同会発刊の「田中善助伝記」の販売もある。
前田教育会の前田史子事務局長(68)は「地域おこしの糧になった人が、伊賀にいたことを知ってもらいたい」と話していた。
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