【当時撮影した写真を紹介する羽馬さん=名張市で】

来日時に同行 報道写真撮影

 第二次大戦の終わりとともに中国に残され、家族と生き別れた孤児たちが1981年から7年間、計17回にわたって来日した際の記録写真を、三重県名張市梅が丘南1番町の羽馬幹生さん(81)が当時、厚生省擁護局からの依頼で撮影していた。5月3日から6日まで市内で開く写真展には、身元が判明し再開する家族らとの様子、社寺や観光地を巡る姿など、膨大な写真の中から69点を展示する。

大阪城を巡る一行(羽馬さん提供)

 大阪出身の羽馬さんは学生時代に趣味でカメラを始め、社会人になってからも写真クラブなどで腕を磨いた。時には講師としても活動し、75年には日本報道写真連盟関西本部の委員に。孤児たちの撮影は、最初は報道写真家の浜口タカシさんをサポートする形で同行した。来日した一行にほぼ同行撮影し、記録写真集の出版にも携わった。

 混乱の中で現地住民に預けられ、家族と離別した孤児たちは、わずかな品や記憶をたどり、肉親の手がかりを求めて延べ1937人が来日したが、再会がかなったのはわずか3割強だったという。羽馬さんは「孤児と家族の姿に、もらい泣きしたこともあった。自分自身のその後の撮影活動に大きな影響を与えた、一世一代の大仕事だった」と振り返る。

 写真展のタイトルは「古都の残留孤児 中国残留日本人孤児/再会/旅/別れの記録」。報道写真として記録された資料を役立てられたらと、当時の支援組織や浜口さんの家族などに了解を得ての開催。羽馬さんは「思い出や記念に残る写真を選んだ。知らない世代の方も多くなっているこの時代、会場に足を運んで頂けたら」と来場を呼び掛けた。

 会場は同市元町のリバーナホール(イオン名張店3階)。入場無料。時間は午前10時(初日は正午)から午後5時(最終日は同3時)まで。

 問い合わせは羽馬さん(0595・64・3721)へ。

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