支えてもらった地域の人たちに恩返しがしたいと、三重県名張市桔梗が丘3番町にNPO法人のカフェを開設した、山本隆子さん。高齢者や子育て世代の交流ができる場となっている。
食育指導士の資格を持ち、料理講師をしてきた山本さんは、以前からカフェ経営の夢があった。地元の市民センターで高齢者サロンや配食サービスなどに関わるうち、一人暮らしが増えるなど、地区ならではの実態を知り、車に乗れなくなると引きこもってしまう人が多いことも知った。
昨夏、「歩いて行ける場所に居場所を作りたい」と同市社会福祉協議会に相談し、NPO法人としてのカフェを開くことにした。調理技術や資格を持つ近所の人を中心に協力を仰ぎ、今年1月、「みんなでお話しましょう」の意味を込めて命名した「カフェ話・話(ハナ・ハナ)」を開設。カフェのテーブルや電化製品、食器などは地区住民に提供してもらったという。
午前5時に起床する山本さんは同6時半にはカフェを開く。仕事を兼ねているので早朝のオープンになるのだが、この時間に開けるのには意味があるという。通学の時間帯でもあり、ごみ集積場の近くでもあるので、何か困った時、開いていたら役に立つのではないかと思ったからだ。
メニューはモーニングセットが中心。ラジオ体操や散歩の帰りに寄ってくれる人もいるという。利用者も「歩いて行けて、ゆっくりできる居場所ができた」と喜んでくれているそうで、世代を超えた交流も生まれ、近所付き合いも深まってきた。
「皆のつながりが増え、自己満足だけでなく、周りに貢献できたのがうれしい」と話す山本さん。「駐車場は少ないが、どの世代にも誰でも利用してもらって、今後はワークショップや移動販売、出張整体など、いろんな企画もしていきたい」と地域のつながりを広げていく予定だ。
問い合わせは同カフェ(0595・67・1377)まで。