地域の高齢者施設などでボランティアとしてフォークギターの弾き語りをする三重県名張市つつじが丘北9の丹羽敦さん(68)。長年勤めてきた介護職の経験から施設利用者らと親しく交流し、演奏を通じて笑顔を届けている。
高校時代に3年間トロンボーンを演奏し、大学でもジャズバンドに所属するなど音楽に触れる機会は多かった。大阪で営業職を始めてからは音楽から少し離れた時期もあったが、3つのバンドに所属するなど積極的に活動していた。
名張に移住後は介護職で約15年間勤め、施設長なども経験。定年退職後の現在も、週3回パート従業員として地域の福祉を支える。
ギターは5年ほど前に趣味として始めた。管楽器以外の扱いは不慣れだったが、独学で演奏技術を磨いたそう。ボランティア活動は、多忙な会社員時代に音楽が心の支えになっていた経験から「音楽の力を多くの人に知ってもらいたい」と2018年に開始。コロナ禍ですぐに活動を自粛したが、昨年9月に再開した。
昭和の歌謡曲から流行のJポップまで幅広い年代に愛される約50曲のレパートリーがあり、聞く人の年代に合わせた親しみのある曲を選ぶ。演奏中、聴衆が一緒に歌えるようギターの音色は控えめ。曲の合間に挟む雑談でも場を盛り上げる。
3月には比奈知市民センターで、協力サポーターの藤井エリ子さん(63)、妻の雅子さん(69)とともに、地区住民らにアンコールを含む11曲を披露した。演奏後、丹羽さんは「ギターを頑張る自分を見て、聞いた人も『頑張ろう』と思ってもらえればうれしい」と話し、演奏を聞いていた人たちも「感動してジーンときた」「歌ってみると元気が出た」と笑顔を見せた。
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