古民家の大きなシダレザクラに魅せられ移住を決めた、三重県名張市赤目町檀の古川美由紀さん(39)。「地域にとけ込むおやつを」と、焼き菓子作りを続けている。
奈良市出身で、シェフとして飲食業に携わっていた。「いつか自分の店を持ちたい」と、6年ほど前から古民家探しを始めた。さまざまな場所を実際に訪れたというが、「山に囲まれ空気もいい上、庭にある桜が決め手」となり、名張での暮らしを即決、5年前の夏に引っ越してきた。
「焼き菓子のお店を始めよう」とした矢先、コロナ禍に。更に2人目となる子どもも誕生し、開店に向けた準備はおあずけとなった。
昨秋になって、焼き菓子作りを再開。北欧で「サンタクロースの秘書役で、家に住むと幸せになる」と言われている妖精にあやかり、「Tonttu(トントゥ)」の名でインスタグラム(@tonttu31686)も開設し、菓子を入れるオリジナルの缶も作成した。
古川さんの焼き菓子は「なるべく体に優しく、低農薬で風味が良いものを」と、材料は桑名産もち小麦や名張産スペルト小麦を使用。育児の合間に手作りし、イベントに出品したり、知り合いに作ってあげたりする。近所の人もファンが多く、応援してくれているという。
今は依頼を受けて作っているだけだが、「いずれはアイスクリームと焼き菓子のお店を開きたい」と夢が広がる古川さん。「夏ごろから庭に遊びに来てもらえるように準備したい。縁があって移った名張に根付いて活動できたら」と笑顔を向けた。
2024年3月23日付864号3面から
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