今年度で51年の歴史に幕を下ろす三重県名張市立大屋戸保育所(大屋戸)で3月16日、「さようならの会」が開かれ、園児約30人や保護者、市の関係者らが出席した。園児たちは園庭で出し物を披露したり、一斉にシャボン玉を飛ばしたりして親しんだ保育所との別れを惜しんだ。
沿革によると、大屋戸保育所の前身は1952年に開園した大屋戸愛児園(設置運営・社会福祉法人名張厚生協会)。73年に市内の保育所が公立に一本化されたのに伴い、現在の運営形態と名称になった。
大屋戸保育所になってからの卒園児数は、今年度を含めると632人。愛児園の開園以前は、明治初期から地元の学校が置かれており、子どもたちが集う場としての歴史は約150年に及んだ。
さようなら会で、井上佳美所長(60)は子どもたちに「もうすぐこの保育所とお別れになります。楽しい思い出を、忘れないでいてほしいな」とあいさつ。園児たちはクラスごとに「また会える日まで」などを歌ったり、「パプリカ」のダンスを披露したりして思い出を刻んだ。
6歳の長女と3歳の次女を通わせた保護者会「白梅会」の中島美咲会長(29)は「寂しい気持ち。地域住民の方にも良くしてもらって、親としても安心していた。いろんな経験をさせてもらえてよかった」と話した。
少子化などを受け、市は2021年8月に市立幼稚園と市立保育所計3園を統廃合し民営の認定こども園を24年度に開園する計画を発表。一昨年は桔梗南幼稚園、昨年は名張幼稚園が閉園した。
名張幼稚園の跡地に今年4月、名張厚生協会が0から5歳児を受け入れる認定こども園「名張きぼうのこども園」(定員85人)を開園し、大屋戸保育所に通っていた園児は卒園児を除き転園する。
市によると、大屋戸保育所の敷地は借地で、1979年に建てられた現在の園舎は新年度に解体撤去する計画。