三重県名張市の赤目四十八滝渓谷入り口にある日本サンショウウオセンター(赤目町長坂)は、国の天然記念物・オオサンショウウオを飼育展示する新しい水槽を設置した。川の水を回流させるシステムを初めて導入しており、1月25日にお披露目式があった。
市の補助金を活用し、観光集客を目的に昨年11月ごろから計画を進めていた。市の地域力創造アドバイザーで水族館プロデューサーの中村元さんにアドバイスをもらい、渓谷の景観やオオサンショウウオの生態を見せる水槽を完成させた。
新水槽は、高さ約120センチ、幅約250センチ、奥行き約150センチで、大きさはセンターにある約20の水槽の中で最大。センターから約3・3キロの渓谷最奥部にありオオサンショウウオが多数生息するという「岩窟滝」をイメージして作った。飼育主任の朝田光祐さん(22)は「歩いて行くことが難しい人にも、滝の魅力を知ってもらえる」と話す。
水槽内には、岩窟滝の写真を基に作った擬岩や人工の植物を設置。川のせせらぎや小鳥のさえずりなどの音も流し、渓谷の環境を再現している。
お披露目式で、渓谷を管理する赤目四十八滝渓谷保勝会の小川貴司理事長は「新水槽が赤目滝の今までにない魅力を発信する取っ掛かりになることを期待している」、北川裕之市長は「名張の観光産業の成長につながる。これからの赤目滝を作る第一歩になれば」とあいさつ。その後、センターが飼育している日本固有種のオオサンショウウオ1匹を水槽に放した。
朝田さんは「これまでは水槽内に動きがなく、素通りしてしまうお客様も多かった。センターが滝の魅力を伝える場として、もっと進化していけたら」と話した。
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