プロ野球草創期に活躍し第二次世界大戦で戦死した三重県伊勢市出身の名投手・沢村栄治(1917-44)の生涯を紙芝居で学ぶ授業が1月24日、名張市立比奈知小学校(下比奈知)で開かれた。6年生の児童ら約40人が参加し、戦争で命や夢を奪われる理不尽さ、平和の大切さについて考えた。
紙芝居を披露したのは、伊勢市の中村進一さん(76)。中村さんは自ら脚本と絵を手掛けた「平和紙芝居」を、地元を中心に各地で上演し、平和の尊さを訴える活動を18年間続けている。今回の「沢村栄治ものがたり」は2017年に初披露した。
中村さんは紙芝居で、沢村が速球を武器に日米野球でベーブルースらメジャーリーガーと渡り合ったこと、巨人のエースとして優勝に貢献したことなどを紹介。その後、徴兵されて手榴弾を多投させられ、戦地で体を壊したこと、3度目の召集時に乗っていた船が東シナ海で米軍の魚雷攻撃を受け、27歳で亡くなったこと、戦後にプロ野球で投手に贈られる「沢村賞」が創設されたことなどを子どもたちに伝えた。
中村さんはグローブを同小にも贈った米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手に触れ、「沢村さんの紙芝居をするごとに、大谷さんは幸せだなと感じる」と話し、「皆さんや皆さんの子どもたちが将来、二度とこのような悲しい目に合わないよう、平和の大切さを伝えて」と児童たちに語りかけた。ウクライナやパレスチナで現在起きている戦争にも触れ、戦時中に県内に投下された焼夷弾の残骸なども紹介した。
授業の後、野球をしているという男子児童(12)は「沢村さんが戦争に行ったことは知っていたけど、手榴弾を投げていたとは知らなかった。野球をするための能力が、戦争のために使われてかわいそうだと思った」と話した。
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