【激しく抵抗する犯人役を取り押さえる署員ら=名張市平尾で】

 三重県警名張署は1月18日、近畿日本鉄道などと合同で、近鉄大阪線を走行中の電車内で刃物を持った不審者が暴れたとの想定で訓練を行った。名張市平尾の近鉄名張駅近くに停車中の実際の車両を使い、乗客の避難誘導やさすまたを使った犯人制圧などの対応を確認した。〈YouTubeで動画(https://youtu.be/qTtJyPdRAcs)〉

 訓練前のあいさつで、同署の今村悟署長は1月3日にJR山手線の車内で女が刃物で乗客を切りつけた事件に触れた上で、「対応するためにどうするか。失敗してもいいので実際に体験して覚えて頂き、自分の身や乗客の安全を守って頂けたら」と話した。

 訓練は、不審者が「何見てんじゃ」と乗客と口論になり、車掌が仲裁に入ったところ、不審者が刃物を取り出し乗客を切りつけたと想定して行われた。車掌が乗客役を避難させ、運転士や駅などに連絡。駅に到着後、駅員がアクリル盾を持って不審者役と対峙し、通報を受けて駆け付けた署員が、「殺すぞ」などと声を上げながら刃物を振り回す不審者役の署員を、さすまたなどを使って取り押さえた。

 講評した鉄道警察隊の隊員は、駅員がアクリル盾を手に1人で犯人に向かっていった点について「かなり危険。死んでしまう」と指摘。乗客が既に避難した状況の場合、「車両と車両の間のドアを閉め、犯人をこの空間に閉じ込めておけばいい」とアドバイスした。

 迫真の演技の不審者役に対応した名張列車区車掌の吉川仁美さん(31)は「恐怖心も出るので、そういうものがお客さまに伝わらないよう、安全第一で対応できたらと改めて思った」と話した。

 駅の会議室ではさすまたやアクリル盾の扱い方、護身術、応急救護の訓練もあり、近鉄社員ら約30人が参加した。

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