能登半島地震の被災地へ派遣された名張市立病院(三重県名張市百合が丘西1)の災害派遣医療チーム(DMAT)が1月11日、現地での活動を北川裕之市長に報告した。
チームは笹本浩平医師(44)、中井祐樹看護師(39)、藤永和大看護師(36)、業務調整員の小竹顕作理学療法士(46)の4人で、4日に出動し7日に帰還した。石川県七尾市の公立能登総合病院を経て輪島市にある市立輪島病院に向かい、夜間の救急対応や患者搬送などの活動を行った。
市立輪島病院は電気が使用できたものの断水が続いており、検査機器の多くが使用できなかった。活動中、余震にも襲われたという。
救急対応では、名古屋市から派遣されたDMATとともに7人の患者を診療。薬が無いためてんかん発作を起こし避難所から運ばれた女性▼復旧作業中に薬品が目に入ってしまった男性▼感染性胃腸炎で脱水症状があった妊婦▼地震で灯油が足にかかり皮膚炎になった女性など、さまざまな状況の患者を受け入れたという。
4人は現地の医療従事者の様子について「すごく気丈に振る舞っていたが、発災から休みなく働いており、かなり無理していると感じた」などと振り返った。
市立輪島病院を離れる際には、金沢医科大学病院(内灘町)へ術後のがん患者の女性を搬送した。輪島市への行き帰りともに道路の損傷で通行できる道が限られ、渋滞も発生しており、移動には通常の倍以上の時間を要した。通行可能と情報があったが余震で状況が変わり、現地で危険と判断して引き返した地点もあったという。
活動の教訓として、笹本医師は「いつも使えているものはありがたいもの。緊急時に使えなくなった時にどう対応するか、日頃から考える必要がある」と話し、十分な物資の備蓄の必要性を指摘した。中井看護師は「支援を受ける『受援』をどうするかも課題。マニュアルを作る必要がある」と話した。
北川市長は「厳しい状況の中で、任務を果たして頂いた。無事に帰って来て頂いてよかった」とねぎらった。