三重県文化財保護審議会は12月18日、名張市の丈六寺(赤目町丈六)にある鎌倉時代作の「五輪塔」を新たに県有形文化財(建造物)に指定するよう答申した。来年1月23日の県教委定例会で決定する予定で、指定されると県指定文化財は607件になる。
五輪塔は主に供養を目的に作られる塔の一種で、「地水火風空」の5つの要素を表す部分から成る。
同寺境内にある五輪塔は、高さ約2・17メートルの花こう岩製。県内にある中世に作られた石造五輪塔の中では伊勢市にある大五輪の五輪塔(3・4メートル)、伊賀市にある阿弥陀寺の五輪塔(2・42メートル)に次いで3番目に大きい。
下部の地輪には制作した年を示す「正応4(1291)年」の紀年銘が刻まれており、県内にある紀年銘を持つ五輪塔の中では、津市賢明寺の石造板五輪塔の弘安8(1285)年に次いで2番目に古いという。丈六寺では、奈良・東大寺の初代別当・良弁僧正の供養塔と伝わる。
また、石の表面には東西南北に梵字が刻まれており、中世の大型五輪塔の中で表面に梵字が刻まれているものは、伊賀地域で唯一の例だという。
矢持宝裕住職は「今年は良弁僧正の1250回忌で、大切な年に答申があり、大変ありがたい」と話していた。
修復の記録、冊子に
この五輪塔はかつて一部が欠損したり、ひびが入ったりしていたが、2020年から21年にかけて修復事業が行われた。同寺は昨年、修復の記録などをまとめた冊子を発行した。1部1000円。
問い合わせは同寺(0595・64・3226)まで。
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