三重県名張市発注の公共工事を巡る贈収賄事件を受け、市は11月20日、具体的な再発防止策をまとめ、市議会全員協議会で発表した。今年度内に、ほぼ全ての取り組みを始めるという。
再発防止策は、市の内部委員会による調査と第三者委員の報告を踏まえてまとめたもので、「利害関係者との癒着の排除」「チェック体制の強化」「職員の意識向上」など大きく4項目に取り組む。
事件では他の職員の関与が低い随意契約を狙って不正が行われたことから、予定価格が一定金額(工事の契約では設計金額が税込50万円)を超える場合、他部署の室長や係長が参加する随意契約審査会を開催し、随意契約にする理由や業者選定などを審査する。
市によると、契約金額が30万円を超える随意契約は年間800件前後で、このうち500件前後が審査会の対象となる。この他、随意契約の相手と見積もり合わせの業者をまとめた一覧表の整備や、随意契約のガイドラインの改定なども行う。
癒着排除に向けた市職員倫理規程の改正では、「利害関係者との飲食、旅行、遊戯及びゴルフ並びに祝儀、香典、供花などの授受」を原則禁止とした。ただし飲食については、「職務の執行の公正さを損なう恐れがないと認められる」場合は上司の許可のもと行うことができるとしている。
全員協議会では、市の説明に対し一部の議員から「何のために飲食が必要か」「禁止しないとだめ」などの声が上がった。中村岳彦副市長は「事業者との飲食はあってはならないと考えているが、利害関係者となると、例えば社会福祉協議会などいろんな関係団体と情報共有する時、ランチミーティングのような場もあったりする。職員が安心してしっかり議論ができるよう、事前の許可制とした」と説明。北川裕之市長は「2度と起こさないために、やれることは全てやっていきたい。飲食に関わる例外の規定については、ガイドラインを厳密につくっていくので、それに則って運用していく」と述べた。
従来の職員倫理規程では、自己の費用負担があれば利害関係者と飲食をともにできることになっていた。市によると、今回の改正は国や四日市市の倫理規程の例などを参考にしたという。