【青果のギフトセットを手にする中澤さん=伊賀市三田で】

 「知らないで食べるから、知って食べるへ」。三重県内唯一の野菜ソムリエ上級プロ(日本野菜ソムリエ協会認定)として活動する伊賀市三田の中澤真規さん(50)は、地元小学校の授業や地域のイベントで講演会を開くなど、野菜や果物の魅力を発信する活動に力を注いでいる。

 市内で会社員として働いていた中澤さんは、2011年に仕事に区切りをつけ、夫の実家が営む青果卸売業を手伝うことに。家業に生かそうと12年に野菜ソムリエの初級を取得。気軽に学ぶつもりが野菜の奥深さに夢中になり、13年に中級、14年には協会が認定する最高位の資格である全国147人(23年9月末時点)の上級プロとなった。

 以降、県内外の自治体やイベント企画者から依頼を受け、家業の傍ら、講演活動を始めた。野菜の栄養や健康効果について学ぶ子ども向けの講座や、会場で調理した野菜の食べ比べをする体験会などを開催。参加者からは「野菜の実験が楽しい」「苦手な食材も食べてみようと思えた」と好評を受けている。

 15年から始めた小売店「中沢青果てくてく」では、青果のギフトセット「ベジフルGIFT」を販売。旬の野菜をまとめ、産地や食べ方などを書いた手作りのポップを添えている。「普段、何気なく口にしている野菜のことを知り、意識しながら食べてほしい」と中澤さん。ギフトは歳暮やゴルフコンペの賞品として人気だという。

 ソムリエの日本一を決める昨年の「野菜ソムリエアワード」では、自身の講演活動や青果店での仕事の様子を動画で発表。一般のウェブ投票により初の金賞に輝き、日本一となった。

 また、後進の育成にも力を入れ、協会が指定する資格取得に向けた教室に県内で唯一選ばれている。資格は近年、生産者や飲食業界だけでなく、主婦らにも関心が高まっているそうで、食材選びや料理のレパートリー増加に役立つという。

 中澤さんは「人と同じように野菜や果物にも個性があるので、さまざまな角度から見ると新たな発見があって面白い。これからも『おいしい』の一言に収まらない野菜や果物の魅力を伝えていきたい」と話していた。

2023年11月11日付855号3面から

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