三重県伊賀市のJR関西線新堂駅周辺で工作機器メーカー「DMG森精機」(本社・東京)が整備を進めてきた図書館と市役所支所、金融機関が入居する複合施設で11月6日、開所式があった。式典は図書館で開かれ、関係者ら約60人が出席した。
木造2階建ての2棟に「SHINDO YARDS(シンドウ ヤード)」と名付けられた複合施設は総床面積が計約1650平方メートル。市有地だった用地の取得費と総工費の合計は約10億円で、南約1キロの場所にグループ最大の生産拠点がある同社が昨年から建設を進めていた。外壁には焼杉を使い、里山など周囲の景観や自然と調和した統一感のある街並みを再現したという。
同社と市が共同で運営する、収蔵可能数が3万冊の図書館「BOOKMARK STORAGE(ブックマーク ストレージ)」は延べ床面積が約970平方メートル。2階は開架式の書庫になっており、1階にギャラリーやカフェを併設している。
同社の蔵書エリアには一般書に加え、芸術やワイン、音楽、海洋、スポーツや工学などの分野を中心に専門書や洋書も含め約1万冊を配架。誰でも閲覧できるが、貸し出しはしていない。いがまち図書室の蔵書エリアにも同じ冊数の一般図書が並べられている。年末年始と図書整理日以外は開館し、時間は午前9時から午後9時まで。
同社の玉井宏明副社長は式典で「この地に工場を建設したのが1970年で、50年以上前になる。昨今は企業の取り組みでサステナビリティ(持続可能性)が重要になっている。2019年には市と地元地区と景観まちづくり推進プロジェクトで協定を締結し、この多目的施設が完成した」とあいさつし、感謝を述べた。
西隣の棟(延べ床面積約680平方メートル)には北伊勢上野信用金庫の「柘植支店・阿山町支店」と同市の伊賀支所が入居し、この日から業務や営業を開始。公衆トイレもある。