【手前の仮橋の供用を開始した名張大橋(小型無人機で撮影)】

 三重県名張市を流れる名張川などの河川改修「名張かわまちづくり一体型浸水対策事業」。2019年にⅠ期工事に着手し、今年9月中旬には名張大橋の延伸に伴う仮橋の供用が始まった。事業の進捗状況などについて、国土交通省木津川上流河川事務所の矢間孝司技術副所長などに取材した。

 Ⅰ期工事は、名張川と宇陀川の合流地点付近の左岸約1キロに堤を築き、河道を掘削して川幅を約2倍に広げる「引堤」で洪水の危険を減らす他、河川敷の親水広場の整備や桜並木の植樹などを行うもの。事業費は約100億円を見込み、2025年度の完了を目指している。

 23年8月現在、引堤は名張大橋下流側の約300メートルが完成。河道掘削は計画されている約15万立方メートルのうち約3万立方メートルが完了している。今後は黒田大橋の上流側を中心に工事を進めていくという。

 また、引堤に伴って名張大橋の延伸と黒田橋の架け替えが進められる。

 名張大橋はこれまで全長147メートルだったが、延伸工事後は全長174メートルになる。延伸の完了は25年以降の見通し。下流側に設置された仮橋の供用は9月11日に始まった。

手前が黒田橋、奥が仮橋。間に新しい橋の橋脚が建設済み(同)

 黒田橋の架け替えは、新しい橋も右岸側の位置はこれまでとほぼ同じだが、左岸側がやや上流の位置になり、現在の橋が全長69メートルなのに対し、新しい橋は全長119メートルになる。既に左岸の橋台と2つの橋脚が造られており、今後は右岸の橋台や橋梁部分の建設などが進められる。

 工事の進行に伴い、今秋中に黒田橋は通行止めになる予定で、自動車は別の橋に迂回する必要がでてくる。歩行者などは、近くに建設された仮橋を通行できるようになる。

 親水広場の利活用を巡っては、名張かわまちづくり協議会(会長・北川裕之市長)で話し合いが進められている。同協議会事務局の市道路河川室によると、今年度中に具体的な方向性を出す考え。

 名張川の河川改修は、Ⅰ期工事に続くⅡ期工事も構想されている。区間はⅠ期工事の区間の更に下流で、大屋戸橋までの約2キロ。最大50メートルの引堤を行う予定で、既に用地買収が進められている。

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