【上野税務署=伊賀市緑ケ丘本町】

 消費税の「インボイス制度」が10月に始まる。三重県の伊賀市と名張市を管轄する上野税務署の浅香幸広署長(60)に、伊賀地域の状況や疑問点などについて質問した。〈連載(全5回)〉

【Q】インボイス制度は 10月1日に始まりますが、9月末締め10月発行の請求書はインボイス制度に対応していなければなりませんか。

【A】2023年10月1日から始まる適格請求書等保存方式(インボイス制度)の下では、「インボイス」等と帳簿の保存が仕入税額控除の要件となります。すなわち、10月1日以後に行う商品の仕入れなどの取引については、買手が仕入税額控除の適用を受けるためには、売手から適格請求書(インボイス)の交付を受けて保存する必要があります。請求書の発行日ではなく、10月1日以後行われる取引(資産の譲渡など)から適用されます。

【Q】インボイス制度の導入日をまたぐ請求書はどのようにしたらいいですか。請求書を毎月20日締めとしているケースを例に教えてください。

【A】適格請求書発行事業者には、登録日以後の取引について、相手方(課税事業者に限ります)の求めに応じ、適格請求書を交付する義務があります。登録日をまたぐ一定の期間の取引に係る請求書については、登録日以後の課税資産の譲渡などについて適格請求書を交付することとなるため、課税資産の譲渡などの対価の額や税率ごとに区分した消費税額などの記載に当たっては、登録日前の課税資産の譲渡などに係るものと登録日以後の課税資産の譲渡などに係るものとに区分するなどの対応が必要となります。

 したがって、毎月20日締めとして請求している場合で、10月1日に適格請求書発行事業者の登録をしている場合は、原則として、9月21日から9月30日までの取引と10月1日から10月20日までの取引について、区分して課税資産の譲渡などの対価の額や税率ごとに区分した消費税額等を記載する必要があります。

 ただし、2023年10月1日を含む課税期間が課税事業者である事業者が、同日に登録した場合については、買手において登録日前後の課税仕入れがいずれも仕入税額控除の対象となることから、登録日をまたぐ請求書を適格請求書とする時は、登録日前後の課税資産の譲渡などを区分することなく請求書に記載して交付することも認められます。

【迫るインボイス④】上野税務署長に聞く インボイスを紛失したら?(https://www.iga-younet.co.jp/2023/09/16/80670/)

【迫るインボイス②】上野税務署長に聞く 免税業者に不利?(https://www.iga-younet.co.jp/2023/09/14/80663/)

【関連記事】新署長の浅香さんにインタビュー 上野税務署(https://www.iga-younet.co.jp/2023/09/13/80639/)

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