植物の葉や根などを使って生地を染める伝統的な染色技法「草木染め」。中学の美術教員として35年間勤務した三重県伊賀市諏訪の川端トヨ子さんは、退職後に始めた草木染めにひかれ、現在は教室の講師として魅力を広める活動に力を入れている。
2014年に人間国宝の染色家・志村ふくみさんの工房で草木染めに触れ、染め糸を使った帯を1年間かけて織った。翌年には大阪の工芸教室で、溶かしたろうで模様を描く「ろうけつ染め」やくくった糸で模様を作る「絞り染め」など、多様な染色技術を磨き、今でも週1回は通っている。
作品はバッグやストールの他、額縁やパネルに飾ったものなど幅広い。模様は植物柄が中心で、趣味の山歩きで見た景色から作品のイメージを膨らませているという。自宅のキッチンで作業し、ビワや藍、レモングラス、ヤマザクラの枝など庭で育てている植物も染料として使う。
教室は、諏訪地区市民センターや県上野森林公園で不定期に開いている。縁あって今年2月からは「古民家カフェ365nichi」(同市広瀬)でも始めた。好評だったこともあり、3か月に1回の開催を計画している。
8月8日には同カフェで3回目となる「藍の生葉染め 染物教室」が開かれる。定員は先着12人。弁当やシルクストール代など参加費4300円が必要。申し込みは7月27日までに、同カフェ(080・6743・2037)に連絡する。
川端さんは「自然界から頂いた恵みの色を布に映し出している。どの色も深みや安らぎが感じられる」と魅力を語った。
2023年7月15日付847号4面から
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