三重県名張市は6月30日、市内の公共施設やコンビニ計91か所(96台)に設置されている自動体外式除細動器(AED)の収納箱に、傷病者のプライバシー保護のため上半身にかぶせて使う三角巾を配備した。止血や固定などの処置にも活用できる。
AEDは、心臓がけいれんして血液を全身に送れない「心室細動」を起こしている場合に、心臓に電気ショックを与えて正常な状態に戻す医療機器。救急車が到着する前の処置として効果が高いことで知られるが、傷病者が女性の場合、素肌を出して電極パッドを装着することをためらう人が多いことが課題となっている。
収納箱には三角巾の他、女性に配慮したAEDの使い方などを案内する説明書も添えた。説明書では、「パッドを素肌に直接貼り付けることができていれば、ブラジャーを外す必要はありません」「パッドを貼った後に上から上着やタオルを掛けても大丈夫です」などと紹介されている。
名張消防署救急室の藤森博之室長は「迅速なAEDの使用で、救命のチャンスは多くなる。三角巾などを使って、躊躇(ちゅうちょ)せずに使って頂きたい」と話した。
総務省が公表している2022年のデータによると、目撃者の前で心臓病で倒れた人が1か月後に社会復帰する率は、心肺蘇生なしだと3・2%だが、実施すると9・7%、AEDも受けた場合は40・1%に高まるという。
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