【4月29日の県リーグ・対四日市大で登板した江南投手=名張市夏見のメイハンスタジアムで、2枚とも】

 神宮から神宮へ、最大のチャンス―。三重県大学野球リーグを9連覇した皇學館大(伊勢市神田久志本町)の投手陣を引っ張るのが、プロ球界入りを目指す最速145キロの右腕、名張市出身・在住の江南怜投手(22)=教育学部4年=だ。苦楽をともにした仲間と、あと一歩のところで何度も跳ね返された東海地区選手権(5月20日、ダイムスタジアム伊勢)で優勝すれば、念願の全日本大学野球選手権(6月5日から、東京・明治神宮球場他)への切符が手に入る。

 名張小3年時に名張少年野球団で野球を始め、強豪・津商業高では甲子園出場こそ無かったものの、エースナンバーを託された。大学では1年秋から3年春までの県リーグ通算31イニングで失点ゼロを記録。先発登板もあるが、セットアッパーやクローザーとして試合の重要な局面を任される機会が多くなってきた。

 今春の県リーグ(5チームによる2回戦制)は5試合に登板(うち先発2試合)し、16回1/3を投げて自責点は3、防御率は1・65。全勝同士で迎えた四日市大との首位攻防2連戦はクローザーを務めたが、今季は”火消し”を託されたマウンドで失点を喫した場面もあり、自己評価は決して高くない。

 この1年、肩回りを中心に入念なストレッチを採り入れ、「どんな場面でも最初から100%で投げられる状態」に準備してきた。全日本出場がかかる東海地区選手権で4年連続準優勝と惜敗が続くチームも、目標を「全日本出場」から「全日本で1勝」に引き上げ、高いモチベーションで練習に励んでいる。

 「打撃力も向上し、投手陣も力をつけている。選手一人ひとりの経験値が高く、自分が入学してから一番充実している」というチームは、2015年以来の全日本出場を目指し、東海地区選手権で静岡、岐阜両県リーグの優勝校と対戦する。

 「チームのために全力で腕を振り、まずは目の前の1試合を勝ちにいく。他県の投手を圧倒するようなピッチングを見せたい」と意気込む右腕の目には、「(伊勢)神宮から(明治)神宮へ」という目標を掲げたチームが全日本の舞台で躍動する景色、更にはプロのマウンドに立つ自身の姿も見えてきている。

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