【忍泊事業で施工した客室と担当した観光協会の職員=伊賀市上野魚町】

忍具や忍術伝書を展示

 伊賀流忍者博物館を運営する三重県伊賀市の伊賀上野観光協会は、国内の宿泊施設を対象に同博物館所蔵の忍具などを展示、空間演出する「忍泊」事業を企画し、初めて施工した客室が地元の伊賀上野シティホテル(同市上野魚町)にお目見えした。今後は2025年開催の大阪・関西万博に向けて市外にも積極展開する考えで、国内外の忍者ファンに広くアピールする。

認知度向上へ

 忍泊はコロナ後の観光需要を見据えた誘客促進と新たな収益の確保として、21年12月に同博物館の改修を手掛けた総合ディスプレー会社「フジヤ」(京都市)と連携し、立ち上げた事業。「伊賀流忍者博物館ルーム」を各地で再現し、認知度向上を高めるのが狙いだ。

4階の忍者ルームに展示したショーケース「伊賀流忍者の火器忍具」の一部=同

 同ホテルでは、忍者をモチーフにした壁紙や巻物を床下に隠すなど工夫を凝らした畳敷きの和室「忍者ルーム」を2015年に3室設置したが、より多くの需要を見込んで忍泊の企画施工を依頼した。広さは23平方メートルで、1室4人まで利用できる。

博物館が監修

 各室内には同博物館の監修で侵入、戦闘、火器をテーマに、忍具の複製品と忍術伝書「万川集海」「忍秘伝」などに記載された箇所の写真、日本語と英語による解説が縦80センチ、横120センチのショーケースに収めて壁面に展示されている。伊賀流忍者として名高い百地家の家紋が入ったあんどん照明も配置した。

 忍者ルームの宿泊客には部屋着として忍び装束や写真撮影用に模造刀を貸し出している。同ホテルの松本和宏マネジャー(37)は「これまでは地元を中心に周知をしてきたが、リニューアルを機に海外の人にも利用頂けたら」と話した。

2023年4月8日付841号26面から

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