三重県名張市初の地域おこし協力隊の一人として活動する同市西田原の長谷川幸太朗さん(35)。前職の経験を生かした「アニメの力で名張を活性化できたら」と奮闘している。
地域おこし協力隊は都会の若者に、地方へ移住しまちづくりの担い手になってもらうことを目指す総務省の制度。各地域でサポートを受けながら、新たな魅力の掘り起こしや情報発信などに最長3年間取り組むもので、同市では2021年に4人を採用した。
山口県出身の長谷川さんは大学入学を機に上京。卒業後は、アニメグッズを企画制作する会社でショップ店長を務めていた。結婚し、2人の子育てをしながら地方移住を考えていた時に募集を知り、環境や交通アクセスが良い名張を選んで採用された。
着任後は担当する歴史的な町並みが残る旧市街地での活動をSNSなどで発信。同時に「自分が得意なアニメが地域を盛り上げる一つになるかも」という思いを持ち続けていた。
昨年6月、伊賀忍者を描いた新作テレビアニメ「忍の一時」の放送開始が旧市街地で開かれている「隠(なばり)街道市」の日程と近いのを知った。何か一緒にできないかとアニメの制作会社に相談を持ち掛け、先行上映会と原画展を企画。
10月の当日には遠方から多数のファンが集まった。また、地元に多くの若いアニメファンがいることにも気づいたといい、地域を盛り上げる手応えを感じたという。
今年3月にはアニメファンを呼んで語り尽くす「アニメ好き集まれ!」という趣味の会も旧市街地で開催。今後も数多くアニメの集まりやイベントを仕掛けたいという。
着任から2年、今では知り合いも増え、6月には第3子も生まれる予定の長谷川さん。「名張だけでなく伊賀地域を盛り上げていけたら」と目を輝かせている。
2023年3月25日付840号11面から
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