「先生ありがとう」—。三重県名張市を中心に36年間にわたって新体操の指導に当たり、県体操協会理事として2009年に県内であった世界選手権の開催などにも尽力した島田真理子さん(66)=桔梗が丘5=が、3月下旬に市立梅が丘小学校(梅が丘北1)体育館である教室を節目に、地元での指導を終える。教え子やその保護者たちから感謝の声が上がっている。
島田さんは武庫川女子大で18歳の時に新体操を始め、卒業後は津市の会社が運営する体操教室で勤務した。30歳で独立し、地元名張市で「島田新体操クラブ」を設立。同市夏見の市総合体育館を拠点に活動した。
当時、伊賀地域で新体操教室は珍しかったといい、習う子どもたちの数は右肩上がりだった。本格的に競技に取り組む「選手コース」も設け、教え子の中には後に指導者の道に進んだ人も複数いた。
クラブ設立の数年後には梅が丘小での教室も始まり、島田さんが同小の児童を中心に指導。市総合体育館でのクラブの活動は今から10年ほど前に終了したが、同小での教室はその後も続き、これまでに約100人が巣立った。多い時は20人ほどの教室生が習っていたが、新規募集を中止したこともあり現在は4人となった。
「前を向いて。いち、にっ、さん、しっ」。広い体育館に熱の入った島田さんの声が響く。音楽に合わせ、リボンやフープを手に演技を磨く4人の眼差しは、教室の終了を控えても真剣だ。
4人のうちの1人、2年の金村愛華さんは、母の愛さんと母娘2代で教室生に。愛さんは「新体操は体が柔らかくなり、けがもしにくくなるので娘にも勧めた。私の時代の先生はものすごく厳しかったが、指導法がしっかりしていて確実に身に着いた。本当は娘が大きくなるまで教えて頂きたかったが、『本当にお世話になりました』という気持ちでいっぱい」と話す。
島田さんは「寂しい気持ちもあるが、年齢的なことを考えてやめることに決めた。教えたことが、子どもたちの将来の役に立ってくれたらうれしい」と語った。島田さんの名張で最後の指導は3月27日午後5時からで、習ってきた4人が関係者の前で演技を披露する。