三重県伊賀市は2月17日、2023年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比3・6%(15億6321万円)増の451億290万円で、24日開会の市議会定例会に提出する。

 市財政課によると、一般会計の増額は2年連続。歳入では、市税全体が前年度比2・4%増の144億4930万円を計上。市民税は個人市民税が1億525万円(2・4%)増の44億2296万円、法人市民税が9161万円(9・5%)増の10億5374万円で、全体が3・7%増の計54億7670万円と試算した。入湯税は4100万円で、74・4%の大幅増収を見込み、歳入全体の2割強を占める地方交付税は8・8%増の99億7246万円を計上した。

 歳出は、人件費が0・4%減の90億8117万円で、退職予定者が減るなどが理由。物件費が忍者体験施設の整備業務委託料の増額や小中学校給食の無償化などで8・2%増の93億3199万円を見積もった。投資的経費は新斎苑の整備運営や地区市民センター建設など44%増の33億7645万円を計上した。

 市の貯金にあたる基金の残高は、学校給食の無償化など各事業を実施する財源が不足し、計約20億8000万円を取り崩す。一方で、財政調整基金やふるさと応援基金などに約13億6000万円を積み立てるため、23年度末の残高が約165億円を見込み、市民一人当たり(22年12月末現在の住民基本台帳人口8万7139人)の“貯金額”は約19万円と説明した。事業のために借り入れた市債の残高は487億円(23年度末見込み)で、市民1人当たりの“借金額”は約56万円になる。

 主な新規や拡充の事業は次の通り。

▼定住自立圏推進事業として伊賀市と京都府笠置町、同南山城村、奈良県山添村の小学生に圏域の誇りなど醸成を図るため、20人程度(1回10人)の搭乗に必要なヘリコプターの運航業務委託料(266万円)

▼市に寄贈された作品や埋蔵、古文書などの文化財の保管や活用とともに芭蕉翁記念館の機能を併せ持つ美術博物館の建設に向けた準備委員会の委員報酬(36万円)

▼関西圏からの国内外観光客の誘客を促進するプロモーション活動の経費(632万円)

▼奨学金などを借りて修学した若者が市内に定住し、市内または定住自立圏内の企業などで就労する場合に、返済額の一部として5年間で上限100万円を支援する費用(400万円)

▼民間企業がJR関西線の新堂駅南側に建設する施設への伊賀支所移転の経費(2464万円)

▼市内の中学3年生が各校で実施する英検の受験料(287万円)

▼10月から古山と阿波、矢持の3郵便局で実施する証明書の交付など窓口業務導入経費(407万円)

▼PFI方式で実施する新斎苑整備運営事業の建設業務などに関する経費(11億5077万円)

▼2024年4月から名張市と運用を開始する共同消防指令センターの整備業務委託や仮眠室の増設など庁舎改修工事の経費(7億95万円)

▼布引と阿波、西柘植、博要の4住民自治協議会に対し地域おこし協力隊各1人の活動支援する業務委託料(931万円)と伊賀上野観光協会に対し同協力隊2人の雇用と活動の支援業務委託料(928万円)

▼小中学校給食費無償化事業(3億6138万円)

▼忍者体験施設整備業務委託料(2億2250万円)

▼PFI事業で新図書館やカフェ、ホテルが入る計画の旧市役所庁舎改修整備事業の経費(1億956万円)

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