高齢化進む地区に突然現れるイルミネーション
三重県伊賀市南部の山あいに位置する諸木地区で夜間、イルミネーションで飾られた8軒の家々が道沿いに突然、現れる。移住した英国人男性が自宅に設置したのをきっかけに、年々規模は拡大。高齢化が進む集落はこの時期、明るく幻想的な光に包まれる。
イルミネーションがあるのは広域農道「伊賀コリドールロード」沿い約400メートルの区間。今年も12月に入り、家々やバス停、集落入り口の看板にLED(発光ダイオード)が取り付けられた。
5年ほど前、英国オックスフォード出身の英語講師で市内の小学校でALTも務めるクリス・ホドルさん(60)が、日本人の妻とともに諸木の古民家に移り住んだ。ホドルさんの故郷ではクリスマス前に自宅に電飾を設置するのが一般的で、諸木の家でも屋根の一部にケーブル状のライトを設置し点灯。様子を目にした近隣住民の心にも“光”がともった。
近隣にも広がり8軒に 地域が明るく
近所の西忠弘さん(79)は翌年、「うちも始めよう」と決め、しまい込んでいた孫のクリスマスツリーのライトを引っ張り出し、家に取り付けた。それから2軒、3軒と続き、集落の明かりの数は年々増えていった。
西さんは「諸木には昔たくさんの人が住んでいたが、今は22戸まで減ってしまった。高齢者ばかりで寂しくなっていたが、ホドルさんがきっかけで、夜だけでも明るくしようと地域が盛り上がってきた」と振り返る。
区長の上山高司さん(58)は「今年は『ようこそもろきへ』の看板も本格的に点灯できた。にぎやかで明るく、通る人から『すごい』と驚かれている」と話す。ホドルさんは「環境が良く、大好きな土地。次は皆で公民館も飾りたい」と話した。
諸木のイルミネーションは、来年1月末ごろまで続く予定。
2022年12月24日付834号1面から
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