三重県名張市の総合防災訓練が11月19日、市内各所で一斉に行われた。3年ぶりに従来規模で実施され、市防災センターや各地区の市民センター、小中学校などを会場に、地域住民や各機関の関係者ら計1万2919人(市発表)が参加した。
「いっぱい人が倒れている」
市立病院(百合が丘西1)の第2駐車場では、市消防本部の「多数傷病者訓練」があり、市の消防職員や消防団員、近畿大学工業高等専門学校の学生ら計約90人が参加した。
訓練は、震度6弱の地震が発生した影響でバスやトラック、普通車など計5台が絡む多重事故が発生し、約30人の傷病者がいると想定。消防団員と近大高専生が傷病者役を務め、通報を受けて市消防本部を出動した救助工作車や救急車などが続々と現場に駆け付けた。伊賀市消防本部の救急隊1隊も参加した。
通行人役が「いっぱい人が倒れている」と叫ぶ現場に到着した隊員たちは、横たわる多くのけが人に的確に対処するため、治療の優先順位を決めるトリアージを実施。声を掛けながらけがの状態を把握し、歩ける人には歩いて救護場所に移動してもらった。
事故現場を再現した場所では、隊員が車両をジャッキアップしたり、窓を割ったりして車の下や中から負傷者に見立てた人形を救出。転落者を低所から引き上げる訓練もあった。
名張消防署救急室の藤森博之室長は「こういった災害は市内でも起こり得るもので、迅速かつ確実に救助や搬送を行う必要がある。訓練結果を検証し、各機関との連携をしっかり確立したい」と話した。
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