【表彰状やトロフィーを手にする職員たち】

 三重県伊賀市別府の愛農学園農業高校(村上守行校長)の教育プログラムが、今年度のグッドデザイン賞(日本デザイン振興会主催)を受賞し、特に優れた受賞者「ベスト100」に選ばれた。

 1964年創立の同高は、キリスト教を土台とした全寮制、男女共学の私立農業高校。北海道から九州まで全国から集まった生徒たちが共同生活を送りながら、有機農業や畜産などを実践的に学んでいる。一人ひとりに目が届くよう少人数教育を徹底しており、現在は1年20人、2年20人、3年21人の計61人が在籍。生徒たちと35人の職員が日々一緒に、農作業に取り組んでいる。

 学校の敷地は10万平方メートル以上と広大で、乳牛10頭、豚100頭、平飼い鶏1500羽を飼育し、畑では60品目以上の無農薬野菜を栽培している。キウイやブドウなどの果樹を150本以上育て、1万5千平方メートルの水田で稲作にも取り組む。育てた農産物は日々の食事で活用しており、校内での自給率は70%以上だという。

農場で活動する生徒ら=伊賀市別府で

 これまでに送り出してきた卒業生は58年間で計約1200人に上り、半数近くが農業の担い手として活躍。研究者になったり、環境や福祉の道に進んだりした人もいる。

 同賞の審査員からは「農業に熱中できる環境を、教職員だけでなく生徒、卒業生も含め小さなコミュニティーで育んでいる。人間ファーストではなく地球ファーストな農業に愛情を持つ生産者が増えると、日本の農業の選択肢も増える」と高い評価を集めた。泉川道子教頭(55)は「本校が長年大事にしてきた『食と農』に今回、光を当てて頂けたことがうれしく、ありがたい。取り組みがより広がっていくきっかけになれば」と話した。

2022年11月5日付831号8面から

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