【愛用のカメラを構える中森さん(提供写真)】

趣味から仕事へ 人との関わり広げたい

 「写真を通して人とのつながりを深めたい」。三重県名張市希央台5の中森一輝さん(35)は、2年ほど前に脱サラして一念発起。大阪から生まれ育った地元にUターンし、家族写真や企業の広告写真を撮影するプロカメラマンとして「第二の人生」を歩んでいる。

 大学の事務職員として広報を担当していた中森さんは7年前、パンフレット制作に使う写真の撮影をきっかけに、写真に興味を持った。30歳の時、本業の傍ら週末に依頼を受ける「出張カメラマン」としてスタートし、お宮参りや七五三の写真を中心に撮り、独学で技術を学んでいった。

 最初は趣味の延長として考えていたが、撮影を続けるうちに「好きなことで生きていきたい」という気持ちが強くなった。写真で生計を立てることを決意し、6年間勤めた大学を退職。フリーランスとして建築や飲食店の商品撮影などを請け負うようになった。

 フリーランスでの仕事は「依頼者のリアクションが直接伝わるので得ることが多い」と中森さん。メインの撮影業と並行し、SNS運用代行やちらしのデザイン、動画撮影などにも活動の場を広げている。

クリエイター集団でも活躍

 デザイナーや写真家などで構成されるクリエイター集団「合同会社オフィスキャンプ」にも所属。第一線で活躍する写真家のアシスタントとして腕を磨きながら、クリエイターが苦手とする管理・調整業務を任せられる。サラリーマン時代に培った事務処理のスキルは、チームでも重宝されるそうだ。

 今年9月17日から11月13日に奈良県の吉野町・天川村・曽爾村で開かれる芸術祭「MIND TRAIL(マインドトレイル)」では、アーティストや運営のサポートなど裏方としてプロジェクトに携わる。山道や川沿いに設けられたコースを歩きながら、全国のアーティストが展開する作品が楽しめる。

 中森さんは「『面白い』と思ったプロジェクトには、金銭的な部分にとらわれず取り組めるようになるのが理想。今後は、地元で人との関わりを広げられたら」と笑顔を見せた。

芸術祭で中森さんが撮影した西岡潔さん作「名前はまだない」(同)

2022年9月10日付827号8面から

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