三重県名張市の名張川に架かる名張大橋付近で9月5日夜、カゲロウとみられる昆虫の大発生があった。初秋の橋上の一角は雪が積もったように乳白色に覆われ、行き交う車のわだちがくっきりと刻まれた。〈YouTubeで動画(https://youtu.be/6GB4FY6LFUE)〉
午後8時ごろ、仕事帰りに付近を車で通りかかった同市の会社員男性(36)は、吹雪のように猛烈に舞う虫の集団に遭遇。「運転していたら急に視界が真っ白になった。『ひえっ、うそやろ』と悲鳴を上げてしまった」と振り返る。橋の照明やヘッドライトに群がる様子をスマートフォンで動画撮影し、妻や同僚らに送信した。
同10時過ぎ、現場のアスファルトは大量のカゲロウの死骸で埋め尽くされ、異臭が立ち込めていた。原型を留めたものは、体長2センチほどだった。
昆虫愛好家の池田哲朗さん(42)=四日市市=によると、この大発生はオオシロカゲロウの一斉羽化とみられる。各地でこの時期に確認されるもので、一斉に羽化する理由は捕食者から逃れて子孫を残す確率を上げるためだとされる。幼虫期間を水中で過ごし、成虫になって飛び立つと、交尾や産卵を経て数時間で生涯を終えるという。
池田さんは「種を残すカゲロウの戦略で、生命の神秘を感じる」と話していた。
- Advertisement -