三重県の名張市立病院は9月2日、看護学生の実習を担当する30代男性麻酔科医が、学校のカリキュラムにない麻酔体験を独断で実施する不適切な事案があったと発表した。体験で医師から麻酔を投与された実習生が体調不良を訴え、発覚した。
同病院によると、1日に実習生4人が参加した「麻酔科の患者体験」で、麻酔科医が同意した学生に少量の吸入麻酔を投与。その後、20代の学生1人が吐き気などを訴えた。
体調が回復しなかったため、麻酔科医が学校に連絡。学校側が病院事務局に確認を取り、発覚した。体調を崩した学生はその後回復し、健康被害は出ていないという。
この実習は通常、手術室の見学などの内容で、病院側は麻酔体験が行われていることを把握していなかった。実習は今年度、これまでに4回あり、計18人が参加。吸入麻酔や局所麻酔を麻酔科医が1人で実習生に投与していた。
この麻酔科医は医師歴10年以上で、4年ほど前から市立病院に勤務し、2019年度から実習を担当。病院の聴き取りに対して「麻酔体験は今年度からした」「うとうとする段階でやめていた」「座学ではない、学生のためになることをしてあげたかった」という趣旨の説明をしているという。
同病院の藤井英太郎院長は会見で「薬剤を患者以外に投与することは(医師法など)何らかの法律に抵触する可能性があり、好ましくない。安全性も担保されていなかった」と述べ、外部委員を含む調査委員会を立ち上げ、検証を行う方針を示した。
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