三重県伊賀市は8月25日、一般会計補正予算や「にぎわい忍者回廊整備事業」として官民連携のPFI方式で中心市街地にある成瀬平馬家屋敷跡敷地への忍者体験施設の整備や上野図書館などが入る予定の旧上野市庁舎改修・運営の契約締結など議案28件を発表した。1日開会の市議会9月定例会に提出する。
同契約締結議案の相手先は人材派遣などを手掛ける「ヒト・コミュニケーションズ」(東京都)が代表企業を務め、他6社で構成する特別目的会社(SPC)「伊賀市にぎわいパートナーズ」。2042年度までの21年間で施設の改修や建設、維持管理や図書館運営などの公共事業に対し計約64・2億円を上限とした債務負担行為を設定し、6月定例会で議決している。
市はそのうち、旧庁舎の改修経費に約25・4億円を充てると説明しており、残りの38・8億円で忍者体験施設の整備や契約期間中に発生する施設の維持管理経費、図書館運営経費などを支払う。現上野図書館の運営経費は年間約8300万円だが、施設が大きくなる新図書館は光熱費の他に予定する開館日や時間の増加延長で経費が更に必要となる見込み。
公共事業以外はSPCの独立採算で実施するため、旧庁舎や忍者体験施設に設ける宿泊機能やカフェ、レストランの整備・運営経費はSPC側で負担する。忍者体験施設は敷地北側の740平方メートルに建設。市議会議員全員協議会でSPCの関係者が提案した説明によると、建物は4階建てで屋上に伊賀上野城が眺望できるサウナを設ける構想だという。
9月補正は11億円の追加
補正予算は11億646万円の追加で、うち前年度剰余金の一部約9億円を法に基づき財政調整基金に積み立てる。新規事業では国の新型コロナ臨時交付金を充当し、地区市民センター維持管理経費1173万円で全38か所にリモートでの会議や研修用にパソコンを設置。成和東小と府中小、西柘植小、青山中の各特別教室には空調設備を計4580万円の予算で設置する。
また、下水道事業会計では、23年2月以降の使用分から従量制への移行で使用料の単価を統一するのに伴い、井戸水使用者に対し、メーター無償で設置する。予算額は1100軒分の8450万円。
債務負担行為の補正では4件を追加。そのうち新岡波総合病院(同市上之庄)隣地に移転を予定する応急診療所の建物賃借料として2023年から30年間で2億1991万円を計上した。