【工房で作品を並べる髙木さん=伊賀市下友田で】

ライフワークは「手跡の残る仕事」

 陶器でありながら、金や銀など、一見すると金属にも思える風合い―。三重県伊賀市下友田の陶芸家、髙木己樹恵さん(43)が6月18日から26日まで市内で陶展「‐月虹‐」を開く。創作環境を求めて移り住み約10年、自然に囲まれた農村部で「手跡の残る仕事」をライフワークとしている。

 名古屋市出身で、名古屋造形芸術短大を卒業後、京都府立陶工高等技術専門学校などで陶芸の基礎を修め、2007年からは陶芸家・美術家の近藤高弘さんに5年間師事。13年春に現在地へ移住し、「巳一器(みかづき)窯」を開いて独立した。個展は東京、京都を中心に百貨店などで開いているが、伊賀地域では今回が初開催となる。

 髙木さんの作品は、鉄分を多く含む土を「冷却還元」という手法で銀化させることで生まれる、金属のように堅固な装いと細やかな模様だ。電気窯でまきを使い、100度前後の温度差で異なる発色の具合を確かめながら、安定した仕上がりになるよう研究を重ねている。

 住まいと工房は、かつて公民館だった築50年ほどの建物をリフォームしたもの。春には鞆田川沿いの桜並木、初夏には乱舞するホタルなど、感覚も研ぎ澄まされる環境に、「来るべくしてここへ来たのかな」と笑う。

 個展には花器や食器、茶道具など約60点を出す予定で、「さまざまな縁があり、伊賀で10年目という節目に個展ができてありがたい。見て、触れて、驚いて頂けるように」と期待を込めて話した。

 会場は同市上野福居町のギャラリー「アートスペースいが」で、午前11時から午後6時(最終日は同5時)まで。入場無料。

 問い合わせは同ギャラリー(0595・22・0522)まで。

2022年6月11日付821号10面から

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