三重県の伊賀市選挙管理委員会が昨年3月28日に執行した市議会議員選挙(定数22)で、疑問票の有効・無効の判断を巡り最下位当選者と3票差の次点で落選した立候補者の得票を同数とする訴訟の判決が確定し、くじ引きで当選人を決定する事態になった開票など選挙事務について、同市議会が6月2日、山菅善文・市選管委員長らと意見交換をした。
冒頭に山菅委員長は「市選管として法に則って当選の確定をしているが、投票を巡って効力の確定が我々とは異なる判断をされた」と説明。これに対し、無効票全てを見たという近森正利議長は「明確な良し悪しの判断基準が分からなかった」と伝え、予め候補者名が書かれた用紙に〇印などを入れる記号式投票の導入を求めたが、市選管は用紙の大きさなどを理由に「難しい」と難色を示した。
議会は意見交換の前に、市議選での選挙事務について「信頼感が損なわれかねないものと危惧している」と、見解などを文書で回答するよう求めていた。市選管は「このたびの司法の判断を真摯に受け止める」とし、今後の選挙では開票事務に従事する職員への説明会とは別に、疑問票を扱う職員と綿密な打ち合わせの実施や投票の有効・無効について想定可能な範囲で判断基準を設けて意思統一を図るなどすると説明していた。
意見交換後の取材で、山菅委員長は有権者に対し最終的な選挙結果が決まるまでに1年以上を要し、判決確定による当選無効で現職市議が失職して一時的に欠員が生じたことについて「不手際ではなかったが、ご心配をかけた」と答えた。
市選管事務局によると、投票数の再点検やくじによる選挙会には職員ら延べ47人を動員、報酬や休日勤務手当を選挙長と選挙立会人、職員の計25人に支給した。
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