【名張川から留い川への遡上を試みるナマズ=名張市黒田で(2022年5月17日午後7時21分撮影)】
国土交通省木津川上流河川事務所(三重県名張市木屋町)は5月17日、名張川支流の留い川に、ナマズが行き来するための簡易魚道を設置した。同日夜には、名張川から留い川に遡上を試みる複数のナマズの姿が見られた。
ナマズは5月から6月ごろに遡上し、川から田に入って産卵する習性がある。周囲に水田が広がる留い川にも長年、遡上が確認されていたという。
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ところが昨年5月、市内のNPOのメンバーらが名張川との合流地点近くにある川の中の約50センチの段差下で、なかなか遡上できずに群れているナマズを発見し、同事務所に相談。情報提供を受け、土嚢を積んだ仮設の魚道を設けたところ、段差部分でも遡上が確認できたという。
名張川と留い川の合流地点には、国の河川改修で2019年に樋門が新設された。これに伴う周辺整備の影響などで段差が高くなり、ナマズが遡上しにくくなっていたとみられる。
昨年設けた魚道は出水期を前に撤去していたため、同事務所は今年も簡易魚道の設置活動への参加を関係者に呼び掛け、この日に実施した。
作業には同事務所職員や同NPOメンバー、河川改修工事の業者ら約30人が参加。工事で出た残土を使って約100個の土嚢を用意し、川の中の段差を埋めるように積み上げた。
積み方にも工夫が必要で、ナマズが登る途中に休憩できる窪みを作るのがポイント。今年も出水期を迎える6月中旬に撤去するが、来年もこの時期に設置を続けるという。
同事務所は「他にこういった状況の場所があるか調査し、順次改良を進める。河川の生物多様性を保ちたい」としている。
1997年の法改正で、河川環境の整備と保全が重要視され、魚が行き来しやすい川づくりが各地で進められている。同事務所ではこれまでに、名張川本流の高岩井堰など木津川上流域5か所で改良に取り組んできた。
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