三重県名張市の名張商工会議所が創立60周年を迎えた2018年に創設した「名張商工会議所長寿企業表彰制度」。表彰された43社をより多くの人に知ってもらおうと、追加取材とデータをデジタル化して一つのホームページにまとめたサイトが開設された。表彰は、会員として10年以上経過した企業で、市内に本店、本社を有し、100年以上存続し経営する企業が対象。YOUでも毎週1社ずつ、創業年代順に企業を紹介していく。名張の長寿企業サイト
創業1869 明治2年
名張市蔵持町原出522-51
電話 0595-64-4758
代表者 紀和 伸政
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■ 取扱商品・サービス
立形マシニングセンタ、横形マシニングセンタ、ボール盤の製造。
■ 事業の沿革
1969年 農機具及び諸機械製造を目的に個人創業
1933年 工作機械(旋盤)製造を開始
1948年 工作機械(ボール盤、形削盤)製造
1955年 直立ボール盤の製造を開始
1959年 株式会社紀和鉄工所を設立
1964年 東京営業所を開設
1968年 タレットNCボール盤を開発製造
1970年 株式会社紀和設立(営業、アフターサービス業務)
1975年 株式会社紀和大阪本社新社屋完成
1980年 立形マシニングセンタ、ドリリングセンタ製造
1989年 株式会社紀和鉄工所名張工場操業
1994年 関東営業所を開設
1996年 株式会社紀和鉄工所本社を名張へ移転 横形マシニングセンタ製造開始
2001年 株式会社紀和を株式会社紀和鉄工所に合併
2005年 中国上海に紀和机機制造(上海)有限公司(KIWA-CW、合弁会社)を設立
2005年 中国における立体マシニングセンタの製造開始
2006年 社名を紀和マシナリーに変更
2008年 5軸立形マシニングセンタを開発
2009年 アメリカ合衆国マサチューセッツ州にKIWA USAを設立し、サービス業務を開始
2015年 タイ王国バンコクにKIWA CNC(合弁会社)を設立し、サービス業務を開始
1933(昭和8)年に製造を開始した工作機械(旋盤)
1968(昭和43)年製のコンピュータ制御工作機械
■ 経営理念・特色
紀和マシナリーは“真の価値を追求し、世界のものづくりに貢献する”を経営理念とし、お客様の多岐にわたる機械加工に役立ちたいと願っています。
工作機械に求められる機能は常に変化し続けており、国内はもとより世界各地から寄せられる要望に対して、迅速かつ広範囲に対応できるよう、ユーザー様の顧客満足度とコストパフォーマンスを追求して、従業員一同日々努力しております。
世界のユーザー様が、安心して機械を購入・使用していただく為、アメリカにサービス拠点を設けるとともに、アジア市場をカバーすべく中国に生産とサービス拠点、タイ国にサービス拠点を設けています。
■世界のKIWAブランドに
Q 創業150年を超える製造会社は少ないそうですね。
A 酒屋さんの長寿企業は多くありますが、工作機械メーカーとしては国内でも一番古い方ではないかと思います。1869(明治2)年の創業時には農業機械から始めたようですが、江戸時代からある鍛冶屋のイメージでしょうね。
Q 150年も続いてきた要因は何だと思われますか?
A 常に最先端の技術を貪欲に取り入れてきたことだと思います。また海外市場へも、大手企業とほぼ同じタイミングで展開してきました。当社の主力商品であるマシニングセンタ(コンピュータ制御による多機能工作機械)の1号機は、国内ではなくイギリスに販売しています。中小企業にとって海外市場への進出は大きなリスクを伴いますが、そのことを良しとし、面白いと思ってチャレンジしてきました。
最新のマシニングセンタの前で紀和社長
Q いくつもの試練を乗り越えてきたと思いますが、会社の基本理念を教えてください。
A 大手企業と同じ土俵で戦っても価格面、ブランド力で太刀打ちできません。ニッチな市場であっても、大手さんのできないような、標準機から逸脱したオリジナルなオプションを付けること、そのことでお客さまにとってはコストや納期の面で大きな利益につながるものと考えています。
KIWAブランドの目指すところは柔軟性が高く特別注文に応じることのできる工作機械メーカーであること。「どんな要望にもKIWAならやってくれる」という姿ですね。
Q KIWAブランドは国内外に浸透しているのですか?
A 国内ではある程度浸透していますが、海外ではまだまだ認知度は低いです。今年の10月にイタリアで開催された世界4大工作機械展「EMO」に出展しました。コロナ禍で世界の大手メーカーが出展を控え規模が縮小された中、実機を出品した当社のブースには多くのバイヤーが訪れ、従来の2~3倍の受注を頂きました。今後も国内外の展示会などに積極的に出品し、KIWA JAPANの品質の良さを世界のお客さまにアピールしていくつもりです。
Q 事業の今後についてのお考えは?
A 今後とも最先端の技術、情報を積極的に取り入れ、困難にもあきらめない“エンジニア気質”を持ち続けたいですね。これからの目標は安定経営のための規模の拡大です。そのために、あらゆる面から中小企業的なやり方を改め、経営体質を強めながら企業としての信用、ブランド力を高めていきたいと考えています。