【多くのスーパーカブと愛好家が集まった名阪上野ドライブイン=伊賀市大内で】

 3月末で55年の歴史に幕を下ろす三重県伊賀市大内の名阪上野ドライブインで27日、ホンダ製の小型バイク「スーパーカブ」の愛好家が集まる「三重カブミーティング」が開かれた。青空が広がる中、県内外から訪れた参加者がカスタマイズした愛車計約1600台(主催者発表)を持ち寄り、閉店前最後の日曜となったドライブインは大いににぎわいを見せた。

カブに乗り続々と会場入りする愛好家たち=同

 運営する三交興業(本社・亀山市)が、ドライブイン閉店の日程を公表したのは1月12日。最後を盛り上げるイベントを同社が募集し、伊賀市上林の飲食業、藤森樹さん(37)が「記憶に残る催しをしよう」と新たに実行委員会を立ち上げた。市内のバイク仲間と1月後半から準備を進め、SNSなどを通じて各地の愛好家に参加を呼び掛けてきた。

 この日、専用の駐車スペースを設けた会場には、近畿や東海の自治体のナンバープレートを付けたカブがずらりと並び、茨城や新潟、熊本など遠方からの参加者もいた。車体にさまざまなステッカーを貼ったり、レトロ調にまとめたり、キャラクターを取り付けたり、中には4輪車化したカブまであった。ステッカーやTシャツといった物販や飲食など、会場には10以上のブースが並び、集まった参加者らは情報交換や記念撮影など思い思いに楽しんでいた。

個性豊かに並ぶカブ=同

 SNSでイベントを知り、東京都の秋葉原から一般道を15時間走行して参加した自営業、野崎登さん(51)は「働くバイクにも趣味のバイクにもなる、懐の深さがカブの魅力。会場であらゆるカスタムがあるのを見て『負けられないぞ』という思いがふつふつと湧いた」と語った。昨春放送されたテレビアニメ「スーパーカブ」の舞台となった山梨県北杜市から参加した男性は「ぜひ聖地へも来て」と、完成から間もない舞台探訪マップを配布していた。

 カブに乗る大学生の長男と訪れた奈良県山添村の福祉施設職員、上久保諭さん(47)は「子どものころから家族と訪れた思い出があり、この場所がなくなってしまうのは寂しい。こんなに人が集まったドライブインは初めて見た」としみじみ話していた。

独特な改造が施されたカブ=同

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