【資格認定証の前で愛犬を抱く(右から)渡邉さん、由佳さん、陽向君=伊賀市で】
ペットの救命救急法「ペットセーバー」の国際認定資格を三重県伊賀市服部町の渡邉敏壮さん(39)=専門学校講師、妻の由佳さん(38)=トリマー、長男の陽向君(14)=城東中2年=の愛犬家の家族3人が取得した。由佳さんは「もっと多くの人に、ペットの救命救急にも関心を持ってほしい」と話している。
ペットセーバーは米国発祥の資格で、日本では日本国際動物救命救急協会などが認定している。犬と猫を対象にした心肺蘇生法や止血法、異物除去法、災害時の備えなどを学ぶ。
渡邉さんはトリマーを養成する専門学校の講師で、夫婦で犬に関わる職に就いている。仕事でも家庭でも犬に囲まれる日々だ。
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渡邉さんは5年ほど前、長年取り組んできたブラジリアン柔術の練習中に突然倒れ、心停止状態になった。しかし、その場にいた仲間が速やかに蘇生処置を施し、救急搬送後に一命を取り留め、後遺症もなかった。担当した医師は「奇跡だ。最初の応急手当が適切だったおかげだ」と説明したという。
応急手当の重要性
この出来事は、応急手当の重要性を夫妻の胸に深く刻んだ。渡邉さんは退院後、人の緊急の場面に遭遇した時に備え、自らも蘇生処置の技術を習得。そして由佳さんは1年ほど前にSNSでペットセーバーを知り、かけがえのない犬たちに異変が生じた場合に備え、自分たちが応急手当を学んでおく必要があると考えた。
ペットセーバーは12歳から受講可能で、陽向君にも勧めた。コロナ禍の影響などでなかなか予約が取れなかったが、10月中旬にようやく親子3人で受講し、修了した。
由佳さんは「動物病院ですぐに診てもらえない時、対応できるのは飼い主だけ。いつ緊急の場面に遭遇するか分からないが、対処法を知っていれば救える命がある」、渡邉さんは「自分も命を救ってもらった。相手が人でもペットでも、機会があれば今度は自分が助けたい」と話した。
2021年11月6日付807号1面から