身近な地域を記者が実際に歩いて巡る「てくてく歩記」。YOUは7月に800号を迎えましたが、同じタイミングで、2006年11月の連載開始以来110回、3人の記者が歩いた道のりは800キロを超えました。今回は、伊賀市南西端に位置する花垣地区の山間部にある桂、大滝などを巡る約9・2キロです。(取材・山岡博輝)【蓮明寺境内から大滝の集落を一望する】
梅雨の晴れ間に恵まれた6月中旬、古山地区の蔵縄手バス停を午前9時すぎに出発。前日までの雨模様から一変し、青空に大きな白い雲が浮かんでいます。まだ朝ですが、既に暑さを感じるほどでした。
稲が育っている田んぼに近づくと、オタマジャクシでしょうか、小さな水紋があちこちに。道端で伸びるススキの葉で手を切らないよう気をつけながら進み、安場バス停付近から集落内へ。小高い場所にある大寶寺へ立ち寄り、待ち合わせをしていた年配の女性数人とあいさつを交わしました。
集落を離れ、畑が広がる丘陵地へ。休耕田に生えるガマが穂を伸ばし、その間をシオカラトンボが飛び交っていました。ヒメジョオンが群生している丘から、今来た安場の集落を望み、ブドウを栽培するビニールハウスの間を抜けていきます。
交通量の多い国道368号(上野名張バイパス)を渡って目的地へ向かおうとしましたが、このルート選びは失敗でした。十字路ですが横断歩道も信号も無く、何分も待って完全に車が途切れてから急いで渡りました。ここからは20分余り上りが続き、坂の途中で少しずつ休みながら進みます。
下りになり、広域農道をくぐると桂の集落へ。白いアジサイが迎えてくれました。集落入り口の史跡図を頼りに、まず「藤原氏城跡」を探しますが、道は行き止まりに。いったん引き返し、家々の間を下って乎美祢神社を目指します。
と、道を横切っていく体長20㌢ほどの亀に出くわしました。首を引っ込めてしまいましたが、ニホンクサガメのようです。森の中に朱塗りの鳥居と社殿が映える神社へ立ち寄り、お会いした地元の方に、この道が大滝へ通じているか尋ねたところ、「歩いては道なりに行けると思う」との返答。集落排水施設まで下り、道を探しましたが、草に覆われてしまっているようでした。
この先は、大型車も多い広域農道を歩くしかないようです。時に車を避けながら、時には風に揺れるコバンソウの黄金色の実に目を奪われながら、桂から20分ほどで大滝の集落に到着しました。
高台にある建部神社と蓮明寺の境内から眺めると、先ほどの桂と同じく、傾斜地に家々が並んでいる様子が一望できます。鳥の声と草刈り機の音の中、10分ほど休憩。史跡図によれば、城跡や分教場跡もあるようです。
来た道を戻り、ブドウ畑の間を下っていく細い道へ。この道は古山地区の湯屋谷へと続いていて、ブドウのハウスや、棚田の下部に整備されたゲートボール場などを過ぎ、出発から約3時間半、蔵縄手バス停に戻ってきました。歩数計は1万3321歩でした。
☆Google Mapでルートを確認 → https://www.google.com/maps/d/edit?mid=1ADldlMypjKRkTE3el_mtCLjO_noUS8tf&usp=sharing