伊賀市は5月28日、消防団に支払われる業務委託金の一部や、市職員による私的親睦会費から計約476万円を私的に流用したとして、市消防本部参事で伊賀消防署副署長・管理課長を兼務する男性職員(57)を免職、現在の上司3人(消防長、消防次長2人)を訓告とする同日付の懲戒処分を公表し、林浩己消防長ら幹部職員が会見で謝罪した。
同日午後2時から市消防本部が開いた会見によると、この男性職員は2019年度から20年度にかけ、平常時や台風接近時などに木津川流域の樋門の点検・操作を行う消防団へ市が支払う業務委託金の一部132万2141円と、自身が通帳と印鑑を保管していた、市職員約20人による私的親睦会の会計から数年間にわたって343万7746円を、いずれも私的に流用したとされる。
男性職員は、19年度は中消防署副署長、組織改編が行われた20年度は消防団事務局の業務も担当する地域防災課の課長を務めた。いずれも市から消防団に支払われる同委託金の入出金口座の通帳を管理する立場にあったが、従来別々に保管していた通帳と印鑑を自身で一括管理し、当該の分団など8つの口座へ振り込む前の段階で一部を流用していたとみられる。
20年度に「樋門の事務を1人だけが担当するのは不安」と担当職員から声が上がったものの、適切な対応がなされていなかったといい、21年度の人事異動に伴う引き継ぎの際、同委託金の取り扱いに不明な箇所が見つかったため、内部で調査を実施。その結果、19、20年度で計14回の引き出しが確認され、今年5月上旬に本人が私的流用を認めた。使途については「住宅ローンや家族の医療費などに充てた」と話しているという。
私的流用した約132万円のうち約45万円は昨年12月に返金されており、市は残額の約87万円を全額返金する旨の公正証書を男性職員と5月下旬に交わしたが、「事件化を想定し、伊賀署へ相談している」という。
林消防長はこの日の会見で「全体の奉仕者として信頼を損なったことをお詫びするとともに、改めて職員へのコンプライアンス意識の徹底など、再発防止と信頼回復に努めていきたい」と謝罪した。
市人事課によると、同委託金の調査過程で発覚した親睦会費の流用については、14年ごろから数十回にわたって口座から引き出していたことが確認されており、同課担当者は会見で「任意の組織ではあるものの、私的流用していたことは処分内容に反映している」と説明した。