「ボケ」と「ツッコミ」の漫才口調でユーモラスにつづった手作りの歴史本「漫才で語る名張の歴史」を、名張市美旗町南西原の沢田二郎さん(69)=写真=がこのほど同市桜ケ丘の市立図書館に寄贈した。A4判140ページで、「信長が来る!」などの12項目を、史実に基づきながら独自の視点でまとめた。

 「丈六とは?」の項目では、丈六寺のある同市赤目町丈六の地名の語源について、インドから伝来した仏教の開祖シャカの背丈が5メートル(1丈6尺)あったと伝えられたことから縮めて「丈六」と呼ぶようになったのではないかと説明。

 また「最後の伊賀者」では、幕末に来航したペリーの艦船の内部に、江戸幕府と藤堂藩を通じて伊賀忍者も招待されたことや船員がおどけた態度で接した模様などが平易な言葉のやりとりで記述されている。

 著者の沢田さんは歴史好きで、学生時代にはインドやネパールの古代都市を50日間旅行するほど。公務員時代に海外駐在した際、休日には古い遺跡を見学してその旅行日記を本にまとめたという。

歴史学び 出前講座の講師も

 退職後は市立図書館に通って歴史を勉強する傍ら同市教育委員会の「ふるさと学習なばり学」のゲストティーチャーに応募。更に市民活動支援センターの「おきがる出前講座」の講師にも登録した。こうした活動を通じて得た名張の歴史の知識と足で稼いだ世界の古代史の情報をミックスさせ、自身の歴史観で、14年に「みはたはおもしろい」、19年に「私版なばり学副読本」を執筆した。

 「コロナで自由な時間ができたので、今までに調べた約1000枚の資料を読み直し、多くの方に地元の歴史に興味を持っていただくために漫才風に書き下ろした。図書館でお読みください」と沢田さん。挿し絵や表紙のデザインと製本は妻の恭子さん(69)が担当した。

 沢田さんは今後について「市内の小中学校の『なばり学』の授業や各地域のまちづくり協議会の歴史講座などでお話しできる機会があればうれしい」と話している。

2020年12月26日付786号2面から

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