身近な地域を記者が実際に歩いて巡る「てくてく歩記」。朝晩の寒暖差が増し、もうすぐ紅葉が楽しめる季節になってきました。今回は、伊賀市依那古地区、神戸地区の木津川西岸を中心に約8・4キロを歩きました。(取材・山岡博輝)【1枚目の写真=高台にある無量寿福寺から木津川方面を望む】
今回の発着点は伊賀鉄道依那古駅。朝は濃霧だった10月30日の午前10時にスタート。まだ名残がいくらかあり、霞んで見える方角もあります。木津川にかかる郡橋を渡り、下郡の集落を抜けて矢田川沿いへと進みます。
道に沿って流れる川は水量が多く、トンボのつがいがいくつも顔の前を横切っていきます。赤い鳥居が目印の猪田神社の境内には、子どもたちが絵を描いたちょうちんがずらりと並んでいました。27、28日に例祭があったとのことです。
川に沿って森寺の集落に入ると、大きな石灯籠が出迎えてくれます。イチジクがたくさん実った畑を過ぎ、再び川を渡ると、上野南中学校を右手に見ながら、田んぼの中の道を南へと進みます。刈り取った稲の株からは少し葉と穂が伸び、それがずらりと並ぶ直線的な造形美に感心。田んぼか茂みか、どこにいるか分からないけれど鳥のさえずりが聞こえてきました。
あちこちで柿が実っている上郡の集落を抜け、県道を渡って下神戸へ。茂みにいた小さな鳥と目が合い、静かにシャッターを切りましたが、すぐに飛び去ってしまいました。丘の上にある無量寿福寺は、天正伊賀の乱の際、織田軍が築いた丸山城を攻めるため伊賀の軍勢が集まった地と伝わっているそうです。
約80段の石段を下り、今度は水路沿いにひたすら南へ。林の中からトビや灰色のサギが飛び立ち、時折ドキッとさせられます。左に見える神戸神社の森へ向けて折れ、境内で小休止。例祭を数日後に控えているからか、社務所にはみこしが準備されていました。
参道を進んで下神戸の集落へ。稲の刈り取りが終わって1か月以上、役目を終えたかかしが数体、所在無げにたたずんでいます。地区が運行するコミュニティバスの停留所には「○○宅前」とあり、地域密着の度合いが伝わってきました。木津川に架かる下神戸橋へたどり着き、茶色く濁った川面を眺めながら国道へ出ました。
歩道を進み、伊賀鉄道の忍者電車をカメラに収めてから、丸山交差点を西へ。上郡丸山橋を渡って西岸の堤防沿いをのんびりと歩きます。堤防上の桜並木は、春には多くの人が訪れる憩いの場で、奇麗に整備され、ほほ笑ましい姿のマネキンなども並んでいました。
最後に依那古橋を渡り、午後0時半すぎに依那古駅へ到着。歩数計は1万90歩でした。身近な地域も、ゆっくり歩いてみると気付くことがたくさんあります。これからの時期、紅葉だけでなく、「意外な発見」をしに出掛けてみては。