レジャープールやスケート場などを備えた温泉宿泊施設「ヒルホテルサンピア伊賀」(伊賀市西明寺)の“顔”として、観光客を始め慶事や会合などで訪れる市民らをいつも笑顔で迎え入れてきた。他府県での地場産品販売など地域の魅力発信に心血を注ぎ、5月末で慣れ親しんだ職場を後にした。
新たな経営スタートで一線退く
着任したのは天然温泉施設がオープンする1999年4月で、伊賀の第一印象は「近くにこんないいところがあったのか」。大好きになった四季折々の里山の風景や地域に息づく文化や産業の場に客たちを自ら案内した。
同施設は三重厚生年金健康福祉センターとして92年に開業。年金制度の見直しで、国が全国の施設売却を発表すると、08年12月に存続を願う有志らとともに新会社の発起人会を設立し、09年から社長として切り盛りしてきた。
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それから10年。事業継承という大きな問題が出てきた昨秋、衛生商品などを手掛け、市内に生産拠点がある「サラヤ」(本社・大阪市)の更家悠介社長と巡り合い、従業員の雇用など支援を得た新たな経営のスタートが決まり、一線を退く目途をつけた。
20年と2か月の単身赴任を終え、6月からは家族の待つ故郷の大阪府岸和田市で暮らす。「この地域の良さを知ったお客さまは必ず『リピーター』から『サポーター』になってくださいます。伊賀の地にサンピアを残せたのもサラヤ社長のおかげ。社員には感謝の気持ちを忘れず、いつまでもフレンドリーなホテルであってほしいです」
2019年6月8日付749号21面から
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