伊賀地域出身・在住の作家や、同地域が舞台となった文学作品などを広く伝えていこうと、地元ゆかりの小説家・横光利一の顕彰行事の実行委員会を母体として、今年2月に「伊賀文学振興会」が発足した。舞台となった場所を紹介する催しや作家を招待しての講座などの開催を検討しており、6月1日には設立記念総会が開かれる。
同振興会などによると、伊賀市では2014年に亡くなった同市上野忍町の脚本家・小説家、故・岸宏子さん(享年92)の財産の遺贈を受け、文学振興団体の支援などに充てる「岸宏子文学振興基金」を設立。しかし、旧宅や蔵書なども含め「具体的な活用策が見出せていないのでは」と考える市民有志が、市側との意見交換を経て、岸さんらを始めとした伊賀地域の文学振興を進める団体の立ち上げを検討してきた。
同振興会の呼び掛け人は現在、横光をしのぶ行事「雪解のつどい」の実行委員を中心に約30人で、総会以降に随時募集する。既知の作家・作品はもちろん、新たな人材育成や作品の発掘につながる企画、文化・文学に関する講座や講演会などの開催も視野に入れる。生誕100周年記念事業を機に始まった同行事も、今後は振興会で開催予定だという。
同行事の実行委員長として尽力してきた、伊賀文化産業協会専務理事の福田和幸さん(70)(同四十九町)が暫定的に振興会代表を務める。福田さんは「文学作品を通して地元を再発見し、広く市民に還元できる活動をしたい。可能なことから着手していけたら」と展望を話した。
設立総会は6月1日午後1時半から、同上野丸之内のハイトピア伊賀5階学習室2で。終了後に「伊賀の文学アラカルト」と題したミニ講座を開催予定。講師は福田さん。総会、講座とも参加無料、申し込み不要。問い合わせは市文化交流課(0595・22・9621)へ。