伊賀市音羽で週末だけ開店する古本屋「三歩書店」がある。吉住慶男さん(65)、芳子さん(64)夫妻が本業の傍ら自宅で営んでおり、SNSなどで噂を聞きつけた古本ファンが県内外から訪れている。【店を始めた経緯などを話す吉住さん(左)と芳子さん=伊賀市音羽で】
大工の吉住さんが友人の家を同市丸柱に建てたのを機に、それまで住んでいた京都を離れ、転居してきたのは35年前。その7、8年後には事務所を兼ねた自宅を音羽に新築し、仕事や趣味の音楽に没頭した。
本や古本市が好きな夫妻が、念願だった古本屋の開店へ向けて準備を始めたのは、60歳を過ぎたころ。玄関横に使用しないまま放置していた約8畳の空間を改装し、壁一面には吉住さん手製の本棚を据え付けた。開店に必要な古物商の許可も取得し、2年前に週末と祝日限定で開店した。
店名は「岡山にある古本店・万歩書店は、店内を回るのに万歩かかるが、うちは3歩で回れる」こと、吉住さんが好きなエッセイストの故・植草甚一さんが付けたかった古本屋の名前が「三歩屋」だったことに由来するそうだ。
店内には夫妻のセンスが反映された芸術、旅行、エッセイ、小説、絵本など幅広いジャンルの約2千冊が並ぶ。夫妻の蔵書や、古本市などで仕入れてきたもので、芳子さんが趣味で作る織物作品がインテリアとして店内に彩りを添えている。
折に触れては1つのテーマに絞り込んだ本を集めて陳列することもあるそうで、吉住さんは「田舎にこんな本屋が1軒あってもいいのでは」、芳子さんは「自分が面白いと感じた本を皆さんに紹介するのが楽しい」とニッコリ。
問い合わせは同書店(0595・44・1958)まで。
2018年11月10日付735号23面から
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